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痒み(かゆみ)

かゆみとは、掻きたいという欲望を生じる感覚であると、一般的に定義されています。
全身性のかゆみは、体の疾患の症状のひとつで、主に次のようなことが原因となっています。
●内臓の疾患:肝臓病の黄疸、慢性腎臓病の尿毒症。
●新陳代謝の疾患:糖尿病、甲状腺疾患、欠鉄性貧血、赤血球過多症。
●悪性腫瘍:リンパガン、白血病、及び各内臓ガン。
●精神的ストレス
●薬物、食べ物、動・植物アレルギー
●虫刺され、乾癬、寄生虫など
今月は、シンガポール(熱帯)でよくみられる痒みの原因と漢方的治療法、日常生活の注意事項を紹介いたします。
当診療所を訪れる痒みに悩む方は皮膚トラブルが多く、その中でも、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾皮症、水虫、婦人科系の痒みで、これらの痒みには抗ヒスタミン薬は効果がなく常に悩まされることになります。
特にアトピー性皮膚炎は皮膚掻破により、増悪するので痒みを軽減する必要があります。
掻くことによって、皮膚のバリア破壊が進み、表皮細胞破壊が感染に繋がります。痒いから掻く、掻くから炎症がさらに広がり、痒みが増すのでますます掻く、の悪循環で、まるで“痒み地獄”と言っても過言ではない状態になる場合も多々あります。
じんましんの痒みを止める抗ヒスタミン以外に、皮膚・粘膜の痒みを止める有効な薬がほとんどないのが現状です。
中医学では、原因を“血熱”“血気不足”“湿熱風熱”“風熱症”と考え、特に初期のアトピー性皮膚炎の方には、すばやく痒みと炎症に効果を発揮する、“涼血止痒”という血熱を除く処方をいたします。外用薬としては、冷やす作用が痒みに威力を発揮する天然ミント配合剤を処方します。
“血気不足”による乾皮症痒みは、補血作用の高い生薬を配合した煎じ薬により、短期間で痒みを改善していきます。
日常生活の注意点(特に入浴時)
*脱脂力・浸透性の強い合成界面活性剤入りの洗浄剤の使用をストップすること。
(市販のシャンプー、液体用シャワーソープ、洗い流せる化粧落し剤など、洗ったあと髪や肌に保湿成分が残るような感じがする洗浄剤は厳禁)
*自分の皮脂を根こそぎ洗い流さないように心がける。現代の生活では90%の汚れがぬるま湯で落ちます。(お顔、わきの下、陰部など汚れが気になる部分は純石けんの泡でやさしく洗浄する。
*就寝時はなるべく空調をゆるめに調節すること。
*痒みを強く感じるときは、爪を立てて掻かないように心がけ、水シャワーなどで冷やしたり、ハッカ棒を塗ったりしてしのぐ。